「結衣〜やっと終わったの?...って、なんか顔赤くない?」
「え...」
教室で私を待ってくれていた友達の佳奈。
「そ、そんなことないよ」
「もしかしてやっと久雅先生の魅力分かった?」
「は?そんなわけないじゃん!」
「そんな大声出さなくても...」
久雅先生の名前を出されてより反応してしまった。佳奈は久雅先生に憧れる女子のうちの一人だ。いつも先生のことをカッコいいと言っている。私はその言葉をいつも流していた。
「あんなてきとうで嘘かホントか分かんないことばっか言う人カッコよくないよ」
「そうかなぁ?」
カッコいいわけがない。この胸の高鳴りも突然あんなことを言われてビックリしただけだ。
「でもさ、先生みたいなタイプの人って本当に好きな人に告白する時真面目になるんじゃない?」
「え...?」
「最初は軽めに告白するんだけど、それを信じてもらえなかったら真面目に本気だよとか言いそう〜」
カッコいいなぁという顔をする佳奈。

『冗談じゃないって言ったら?』

さっきの言葉が蘇る。
「そんなわけないじゃん!」
「えっちょっと結衣〜」
私はバックを持って教室を出る。
「忘れなきゃ」
あの先生にからかわれるなんて御免だ。もうあのことは無かったことにしよう。そう思いながら帰っていった。