「先生。おかゆ出来ましたよ」
声をかけても先生は答えない。無理に起こさない方がいいと思い、私は先生の横に座って目覚めるのを待つ。
「寝顔可愛い...」
以前保健室で私が寝ようとした時先生は寝顔は貴重だと言っていたが、まさにその通りだと思った。今私はその貴重な寝顔を目に焼き付けている。
「まだ熱下がってないよね...」
先生の温度を確かめるために頬に手を伸ばした。
「んん...」
「きゃっ!」
その時先生が急に私を抱き寄せた。
「せ、先生!?」
「すー...」
先生は寝ている。どうやら寝ぼけているようだ。
「もう...」
先生の手が離れない。私はそのままでいるしかなかった。
熱のせいでもあるだろうが、先生の体温が温かい。その温かさに安心する。
「移ったら先生のせいだからね...」
寝ている先生に嫌味を言う。そんなことを言いながらも移っても良いと思った。他の誰でもない先生の風邪ならば...。
先生の鼓動の音が聞こえる。その音に安心して私は目を瞑った。