その日の夜、夕飯もお風呂も済ませたあと、ソファに座ってスマホを弄っている尚くんの隣にちょこんと腰を下ろした。同じシャンプーの香りがふわりと漂う。

小さな幸せに浸っていたとき、レストランを紹介しているテレビの特集が目に入る。今映っているのは、プリンセス気分を味わえるメルヘンチックな店だ。

レストラン繋がりで今朝のことを思い返していると、尚くんがまさにそれについて話しだす。


「このレストランとダンジョンは系列店なんだぞ。他にもそれぞれ違うコンセプトの店がいくつかある」

「ああ、そうなんだ! 言われてみれば納得」


どちらもかなり個性的だから、同じ人が立ち上げたというのも頷ける。

尚くんはスマホを操作して、なにやら四十代後半くらいの男性の画像を見せてくる。


「この人が社長。Web系が苦手らしくて、これまでホームページは作ってなかったんだと。結構こだわりのある人だから、今後の打ち合わせは大変かもな」

「そ、そうなの? ……頑張ります」


釘を刺されてギクリとする私に、尚くんはクスッと笑みをこぼした。