私たちのチームにはエンジニアの社員もふたり追加され、無事話がまとまった。
会議が終わった直後、鬼頭さんがテーブルを回ってこちらにやってきた。先ほどの情熱は影を潜め、いつもの無愛想なアンドロイド状態に戻っている。
彼女は座ったままの私たちの後ろ側に立ち、背筋を伸ばして綺麗なお辞儀をする。
「先ほどは取り乱しました。おふたりとも、勝手に引き込んでしまってすみません」
「いえ、尽力します」
すぐに答えた冴木さんに続き、私も「むしろ光栄です」と快く返した。すると、彼女の唇が安堵したようにゆるりと弧を描く。
あ……笑った。私の前では、少なくとも初めて。こうして見れば、鬼頭さんって目鼻立ちが整っていて、結構な美人さんじゃないですか。
彼女の魅力を発見して、なぜか胸がキュンとなる。
「今回のホームページで、さらにダンジョンの魅力を伝えていきましょう。よろしくお願いします」
彼女の声には頼もしさを感じる。私も改めて精一杯取り組む決心をして、冴木さん共々、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
鬼頭さんはさっそくクライアントとの打ち合わせの日程決めに入るために去っていき、私たちも席を立つ。
同時に、私と冴木さんに挟まれている泉さんが、夢でも見ているかのような顔をして言う。



