早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

「俺も、鬼頭の熱ーい思いはよくわかったから、お前らに任せてもいいとは思う。でも、冴木はここへ来て初めてだし、野々宮は殻からくちばしだけ出したようなひよっこだし、鬼頭の負担が増えるぞ」

「大丈夫です、ふたりまとめて私が面倒見ます。冴木さんの技量を把握するのはこれからですが、野々宮さんは覚えも早いですし、なによりやる気を感じられます。実践しながら教えたほうが、より力が身につくかと」


懸念する尚くんに彼女が放った言葉は、私の胸にまで届き、じんわりと温かくなった。

鬼頭さん、私のことなんか無関心だろうと思っていたのに、そんなふうに見てくれていたなんて。なんだか心が奮い立たせられる。

小さな感動を覚えてじんとしていると、尚くんはひと呼吸置いて納得したように頷いた。


「……わかった。俺も手助けできるところはするから、とりあえずやってみるか」

「ありがとうございます!」


意見が認められ、鬼頭さんは表情を明るくして頭を下げる。生き生きとした彼女の姿には、素直に協力したいと思わされた。