内心あたふたしまくっていたそのとき、激しい鼓動の音に混ざってぐつぐつと鳴る音が聞こえてきて、はっとする。
「あっ、お味噌汁!」
火をつけたままだったことを思い出し、私は持っていた健康診断の用紙を、尚くんの顔にバシッ!と押しつけてしまった。ほぼ無意識に。
「ぅぐ」とくぐもった声が聞こえたものの、逃げるように彼の腕の中から抜け出し、慌ててスイッチを切った。
はぁ、煮立たせてしまった……私の胸も、煮えたぎるくらいドキドキしているよ……。なんであんなふうに甘く迫ってきたりするの。
困りきった顔でちらりと斜め後ろを振り返れば、用紙を持った彼がしたり顔で笑っている。やっぱりからかっているんだ。悔しい。
「へっ、へ、変な冗談はやめて、早くご飯にしよ、ご飯!」
くしゃみでも出るのか、と自分にツッコみたい。動揺を露わにしすぎだって。
一度は収まったのに、また熱くなってしまった顔を背けて手を動かす。わかりやすい反応をしてしまう私の耳に、尚くんのクスッという笑いと、「キョウにこの話はまだ早かったか」という独り言が届く。
茶化しているだけだとしても、子供扱いされているように感じるのは否めなくて、胸にチクリとしたかすかな痛みを覚えた。
「あっ、お味噌汁!」
火をつけたままだったことを思い出し、私は持っていた健康診断の用紙を、尚くんの顔にバシッ!と押しつけてしまった。ほぼ無意識に。
「ぅぐ」とくぐもった声が聞こえたものの、逃げるように彼の腕の中から抜け出し、慌ててスイッチを切った。
はぁ、煮立たせてしまった……私の胸も、煮えたぎるくらいドキドキしているよ……。なんであんなふうに甘く迫ってきたりするの。
困りきった顔でちらりと斜め後ろを振り返れば、用紙を持った彼がしたり顔で笑っている。やっぱりからかっているんだ。悔しい。
「へっ、へ、変な冗談はやめて、早くご飯にしよ、ご飯!」
くしゃみでも出るのか、と自分にツッコみたい。動揺を露わにしすぎだって。
一度は収まったのに、また熱くなってしまった顔を背けて手を動かす。わかりやすい反応をしてしまう私の耳に、尚くんのクスッという笑いと、「キョウにこの話はまだ早かったか」という独り言が届く。
茶化しているだけだとしても、子供扱いされているように感じるのは否めなくて、胸にチクリとしたかすかな痛みを覚えた。



