すると、尚くんが穏やかな口調で言う。


「せっかくだから、結婚式の話でもしようか」


憧れが現実になりそうなひとことに、私はとても嬉しくなって「うん」と笑顔で頷いた。

まだまだ先だと思っていた未来は、案外近くにあるのかもしれない。


「とりあえず、招待状は俺がデザインする」

「それ素敵! じゃあ私は……」

「お前は俺の隣で笑っていてくれればいい」


どこまでも甘やかす尚くんは、愛おしそうに私の頬にキスをした。

そんな彼に肩を抱かれ、幸せな未来を語りながら部屋の中へ戻る。夜空に輝く月や星に見送られるように。


──お母さん。私は今日、大好きな人の妻になりました。

私のこと以外では面倒くさがりの彼だけれど、愛想を尽かす日など来たりはしません。いかなる道も共に歩み、一生笑顔でいることを誓います。


神様の代わりに天国の母に誓い、再びふたりでベッドに潜り込んだ。

私たちの愛は、決して腐ることはない。

いつまでも、どこまでも、甘く甘く、熟されていく。


 ‎.。.:End*・゚