「お前と出会えてよかったって、本気で思うよ。愛してる、杏華」


シンプルな言葉が最高に嬉しい。それに、初めてちゃんと名前で呼ばれた。

瞳が潤むほど幸せに包まれながら、「私も、大好き」と、なんとか伝える。

ダイヤの花が輝く指を絡め、夜空の花が消えたあとも、私たちはお互いを慈しむように抱き合った。



隣に眠る旦那様の綺麗な寝顔を見て、私はふふっと笑みをこぼし、そうっとベッドを抜け出した。

浴衣を羽織り、テラスに出てみる。とっくに花火が終わっている今、静かな海の上に佇んでいる丸い月がよく見える。

心地よい怠さがあって疲れているが、目が冴えてしまって眠れない。さっきまで繋がっていた部分がじんじんとしているし。

……ああ、私、尚くんとひとつになれたんだ。少しだけ大人になった気分。

昨日、瑠莉から聞いたNIKKO先生の心得は、いざとなったらほとんど思い出せなかった。実際はそんな余裕なかったよ。

でも、私がどんなヘマをしようと、きっと尚くんは変わらず愛してくれると信じられる。彼はそういう人だ。