話は終わりらしく、尚くんが腰を上げる。


「連絡事項はこんなもんかな。ああ、あと俺、結婚するから」


業務連絡の延長のような調子でさらりと爆弾発言が投下され、皆も私もぽかんとする。

ちょっと、今日さっそく報告するなんて聞いていないんですが! さては面倒くさがって言わなかったな……。

数秒の間があったあと、意味を理解した皆が一斉に雄叫びを上げた。


「えええっ!?」

「うっそ!」


衝撃を受けている皆に構わず、尚くんはこちらに近づいてくる。ギクリとした直後、ぐっと肩を抱かれた。


「嘘じゃねーよ。なあ、キョウ?」


そこはかとなく甘い声色でいつも通りの呼び方をされ、心臓が飛び跳ねる。

これにはさらに驚いたようで、「ぅええ~っ!!」と、より一層大きな叫び声が響き渡った。

ああ、まだ心の準備ができていなかったのに……。めちゃくちゃ恥ずかしいし、皆の視線が痛い。

肩を抱かれたまま顔を赤くして縮こまっていると、隣の泉さんが私と尚くんを交互に見て、興奮状態で問いかける。


「つ、付き合ってたんですか!?」

「いや、告白がプロポーズだったから」