逞しい腕の中で縮こまる私の耳に、彼は究極に色っぽい声を吹き込む。


「キスだけで済むと思うなよ。心も身体も、とろとろに溶かして、隅々まで愛してやる」


ああ、もう……刺激が強すぎてどうにかなりそう。彼に愛されるシーンを妄想してしまい、頭から湯気が出ているんじゃないかと思うほど全身が火照りだす。


「また熱が上がってきたかも……」

「ああ、悪い。飯はどうする? 食べられそうか?」


尚くんはぱっと身体を離し、優しく気遣ってくれる。

具合が悪いことよりも、胸がいっぱいでなにも食べられそうにない。首を横に振ると、彼はそっと髪を撫でる。


「じゃあ、ゆっくり休め。寝るまでいてやるから」


そう言ってベッドから降り、氷枕とスポーツドリンクを持ってくる彼を見て、私は内心ほっとしていた。ようやく極甘攻めから解放された……。

それもつかの間、ネクタイとボタンを外し、鎖骨をチラ見せしたセクシーな彼がベッドに入ってくるものだから、私はギョッとする。


「え、なに!?」

「キスもできないんだから、隣で見守るくらいは許してくれよ。……つっても、さすがにシングルは狭いな」


ぼやきながらベッドの端ギリギリで横になった尚くんは、「まあ、これからは俺のベッドで一緒に寝るからいいか」と、何食わぬ顔で付け足した。