……あれ、身体が痛くて重い。石になる呪いでもかけられたかと思うくらい動かせない。

なんだ、この固い床は。冷たくて気持ちがいいけど痛いよ。どうして私はこんなところで横になっているんだろう。


「……ウ……キョウ……!」


ぼうっと考え始めたとき、私の大好きな声が頭の中に響いてきた。なんだかとっても焦っているみたい。


「キョウ! おい、しっかりしろ!」


どんどん声がはっきりと聞こえるようになってきて、上体を起こされる感覚でうっすらと瞼を開いた。

血相を変えた尚くんの顔がぼんやり見え、とりあえず名前を呼ぼうと口を開く。が、喉が熱く、カラカラに渇いていてうまく声が出せない。出るのは咳だけ。

それを察してか、彼はすぐに水を持ってきてくれて、私はとにかく喉を潤した。


「大丈夫か? この様子だと病院に行ってないんだろ。ったく、しょうがねぇから救急に──」


尚くんは怒ったような口調で言い、抱きかかえようとする。私はこれが夢か現実かまだはっきりしないまま、慌てて声を絞り出す。


「待って……大丈夫、だから」


彼の袖をきゅっと掴むと、潤んでいる瞳で見上げた。