翌日の日曜日はバイトもなく、久しぶりになんの予定もない一日だ。

尚くんは今日から出張。名古屋で行われる会議に出席したり、レセプションパーティーに呼ばれていたりと、明日までぎっしり予定が詰まっているらしい。

会えないのは寂しいけれど、今は気がラクかな、というのが本音だ。花火が終わって帰ってからも普通にしていたものの、やっぱり心が疲れてしまうから。

相変わらず複雑な心境で、玄関で靴を履く彼を見送る。


「明日の夜には帰るけど、遅くなるから先に寝てろよ。戸締まり、しっかりな」

「うん。尚くんも気をつけてね」


いつもの調子で言葉を交わすと、尚くんはふと動きを止めて私の顔をじっと見つめる。


「なんか顔色が悪いように見えるぞ。大丈夫か?」


心配そうに言われ、まったく気にしていなかった私は、キョトンとして頬に手を当てた。

そういえば、朝起きたときから喉がイガイガする。でもたいしたことはないし、最近いろいろ考えすぎて寝不足気味だから、きっと目の下にクマができているのだろう。

その原因が尚くんだなんて感づかれないよう、私は明るく笑ってみせる。