早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜

へらっと笑って、明るい調子で打ち明けた。そのほうが切なさが紛れるかも、と思ったのだけど……。

やっぱり、ずっと無理に口角を上げていられない。冴木さんが心配そうに私を見つめ続けるから、なおさら。

俯き気味になっていると、彼は私の横を通り、壁にあるスイッチを押して電気を消した。ふっと暗くなり、窓が映画のスクリーンになったみたいに、ビルの明かりがきらめく。

いつもは見られないこの景色に気を取られているうちに、右手が温かな彼の左手にきゅっと握られた。


「とりあえず、こっちおいで。始まるよ」


冴木さんは、優しい笑みを向けて私の手を引く。それが今の私にとっては心地よくて、素直に従った。

窓のすぐそばに椅子を動かし、ふたり並んで座ったとき、タイミングを見計らったように豪快な音が響く。

ここの階数は高くないにもかかわらず、窓の向かいが背の低い建物になっているおかげで、夜空に咲いた光の花をばっちり見ることができた。


「わあ、ビルの間からちょうど見える!」

「本当に穴場だね、ここ」


ふたりして歓喜の声を上げ、この瞬間ばかりは自然に笑顔になった。