ディープなキスは初めてなんだから仕方ないじゃない、と文句をつけたくなるも、やっぱり彼は一枚上手で。


「でも、それが嬉しい」


しっかりと私の手に指を絡めて続けられた言葉と、再び始まった熱を交わらせるキスで、どうでもよくさせられてしまった。

そう、どうでもいい。もう考えられないよ。

さっきまで気になって仕方なかった、元カノらしき女性とのことも、彼がこうして私をとろけさせている理由も。

私の上に彼がいて、身体も唇もくっつけ合っているこの状況は、私たちにとっては異常なのだ。他に意識を移すことなどできっこない。

ただただ、この人が愛しい──。

惚けた私の頭にあるのは、それだけだった。