孤独であった少女に愛情を

先生は何も言わずに私を部屋に連れて行った。

何も言わずに私の頭を撫でた。

何も言わずにずっと私のそばにいてくれた。

私は知らないうちに眠っていたようで、
ふと目を覚ますと私は大きなベットの上にいた。

ふかふかで、雲に包まれているような心地良さに私はもごもごと体を少し動かす。

すると、自分の頭に大きくて温かな手の感触があることに気がついた。

「おはよう。Aさん。」

そして、その手をたどっていくと、そこには先生がいた。

「おはようございます。」

私は驚き少し大きな声になる。

どうして先生がここに?

私は昨日の事を思い出す。

『行かないで、せんせい。』

『いっしょにいて、一人にしないで。』

私の頭の中で甘ったるい自分の恥ずかしい声が再生される。
寝起きで靄がかかったようになっていた頭がどんどんと晴れていき、動き始める。

「ご、ごめんなさい。私、あんな子供みたいな事を。」

私は耳を真っ赤にしてそう言った。

顔が熱い。胸がどくどくする。

「よく眠れましたか?」

先生はそう言って
私の、目にかかっている前髪をスーッと掬い上げた。

いっそう耳は赤くなり、頭には湯気でも上がっていないかと思うほどに熱くなった。

私には、何をするよりも甘える事が一番の苦手な事だった。

苦手、というよりもしたことすらないのだから。

甘えた心、とか。自分に甘い、とかじゃなく。

なんと言うのだろう。

兎に角、ものすごく恥ずかしい。