中学卒業の日、私達3年生は最後の合唱を披露した。指揮者は私、三浦紗月。
在校生を背に、150人の仲間達の前に立った私は、既に感極まっていた。溢れる涙を止められなかったけど、私は懸命に指揮棒を振るった。
フッと、彼の顔が目に入った。相変わらず、マイペース、涙を見せるわけでなく、普段通り、でもちゃんと彼なりの全力で口を開いている姿に、私の顔は自然と笑顔になった。
(岡野くん、ありがとう。)
私は心の中で、そうつぶやいていた。
それから4日後、高校での新入生説明会の帰り道、私は彼と一緒になった。
お母さん同士は親しいけど、私達は結局、ほとんど話したこともないまま。それでも
「高校に入っても、またよろしくね。」
と私が言うと
「ああ・・・こちらこそよろしく。」
といつもの曖昧な笑顔で答える君。それから別れるまでの数分間、私達は一言も言葉を交わすことはなかった。
在校生を背に、150人の仲間達の前に立った私は、既に感極まっていた。溢れる涙を止められなかったけど、私は懸命に指揮棒を振るった。
フッと、彼の顔が目に入った。相変わらず、マイペース、涙を見せるわけでなく、普段通り、でもちゃんと彼なりの全力で口を開いている姿に、私の顔は自然と笑顔になった。
(岡野くん、ありがとう。)
私は心の中で、そうつぶやいていた。
それから4日後、高校での新入生説明会の帰り道、私は彼と一緒になった。
お母さん同士は親しいけど、私達は結局、ほとんど話したこともないまま。それでも
「高校に入っても、またよろしくね。」
と私が言うと
「ああ・・・こちらこそよろしく。」
といつもの曖昧な笑顔で答える君。それから別れるまでの数分間、私達は一言も言葉を交わすことはなかった。


