そして、迎えた最終学年。私と同じクラスに岡野哲哉の名前が。ついに小5からずっと同じクラスなのは、彼1人になった。


この年は高校受験。私達の生活の全ては、否応なしに、それに照準が合わされていた。私は担任の先生や親と相談して、実力よりワンランク下の公立高校の推薦に狙いを絞った。


彼は、もがき苦しんでた。学年トップ5からスタートした彼が、今や私がランクを落として狙ってる高校の更に2ランク下の高校すら危ないと、進路指導で言われたらしい。


だけど・・・。


3年生が、部活を卒業する夏。最後の公式戦に臨んだ彼。彼と組んだら、絶対に勝てない。彼とダブルスを組もうとするメンバーは誰もいなかった。


ようやく小学校以来の仲の子が、しぶしぶといった感じで、彼と組んだ。そして、迎えた大会。彼のペアは3回戦まで進んだ。そこまでたどり着けた男子ペアは彼らだけだった。


「岡野があんなにやれるなんて・・・。」


パートナーの子は驚きを隠せなかった。


秋の合唱コンクール、三度指揮者となった私は、また足並みの揃わないクラスの現状に直面した。でももう私は焦りはしなかった。彼がちゃんと、最後の伴走者となって、みんなをゴールに誘ってくれると信じていたからだ。


いよいよ受験。狙い通り、推薦を勝ち取った私が充実感を味わって居ると、お母さんが言った。


「岡野くん、受かったって。」


「えっ?」


私と同じ高校に、一般受験で見事合格したんだって。私立の大学の系列校にも受かっていたのに、彼は親の説得を押し切って、公立に行くことを決めたそうだ。そんな、自分の考えをしっかり持ってる子だとは、正直思ってなかった。