迎えた2年生、またしても岡野くんは同じクラス。でも特に何も思わない私。


志望校の推薦狙いで、学活や運動会などの役員に積極的に取り組む私に対して、彼は相変わらずマイペース。


周りからみると、真面目な秀才タイプだった彼も、実は鮮烈なデビューを飾った成績も2年生になってからは、だだ下がりになったらしい。


「だって、あれマグレだもん。」


落ちる一方の成績にも、危機感がまるでないと、彼のお母さんはウチのお母さんに嘆いていたそうだ。


と言って、別にグレた様子もない。根っからの、ノンビリ屋さんなんだろう。


私と彼の接触は、いよいよなくなる一方だったけど、2度目の合唱コンクール、再び指揮者になった私を困惑させたのは、彼ら一部の男子。うまく出来ないのは仕方ないけど、彼らから全くやる気が感じられずに、ついに私は


「もうちょっと、一所懸命にやってよ!」


と大声を出してしまった。合唱だから、クラスの足並みが揃わないと、どうにもならない。焦る私に、注意された男子達は、不貞腐れるばかりだったけど、彼だけは違っていた。


「ゴメンな、うまく出来なくて。でもわざとじゃないんだよ。もう少し待ってよ、リーダーである三浦さんにそんなに焦られちゃうと、プレッシャーだからさ。」


温和な顔で、彼にそう言われた時、私はハッと胸をつかれた。


そして迎えたコンクール。我がクラスは学年4クラス中、3位だった。でも私達はちゃんと歌えた、私が怒ってしまった男子達も、ちゃんと歌ってくれた。もちろん、彼も。嬉しかった。