私、三浦紗月(みうらさつき)が、彼、岡野哲哉(おかのてつや)と初めて出会ったのは、小学校5年生の時だった。


お父さんの仕事の都合で、転校して来た彼。ちょうど学年始めから、やって来たから、特別に転校生として、紹介されることはなかったけど、それまで見たことなかったから、転校生だってことはすぐにわかった。


いかにも真面目で、大人しそうな、クリッとしたメガネの奥の瞳が印象的だった。


印象に残ってるのは、その年初めての学校公開(授業参観)の日のこと。


誰か教室に入って来たのに、気が付いた私は、フッとその方を見て、吹き出しそうになった。


入って来たその人が、誰のお父さんか、ひと目でわかったから。だって、彼に瓜二つ。彼を、そのまんま大きくして、ちょっと老けさせた・・・って言ったら失礼かな?でも本当にそうだったんだもん。


ちなみに、彼には3つ年下の弟がいるんだけど、後日、学年交流イベントで、その弟が私達の教室に入って来た途端


「あっ、弟が来た!」


ってみんなが、ザワついたくらい、こちらもソックリ。私は、授業中なのに、笑いを堪えるのに、必死だったのを覚えてる。


授業終了後、そのお父さんが、用事があって、彼に呼び掛けていたのだが、気付かないでいるので


「お父さん、呼んでるよ。」


と声を掛けたのが、彼と話した最初だったと思う。