とりあえず走った。

走って、走ってケンの家の前で立ち止まった。


本当は怖くて、一度見舞いに行ったきりもう1週間も来てなかった。


「あら、カン太郎」

甲高い声の…


「おばさん…」


「ケンがね、やっと話せる状態になったのよ」


「…本当に…?!」


中に入るとケンは鼻から繋がれたものとか全部なくなってて、普通に笑ってくれた。


おらは初めてやっと涙が溢れたんだ。

安心して。


「カン太郎!?
なんで泣くんよ〜」


「死んだらどうしようかと思った…」


「まだ死んだりせんよ!!」

動かない手足以外は前のケンだ…。


「いつもおらは口から生まれたっち、かぁちゃんが言いよるし大丈夫や!!」




涙を堪えたケンは





「カンちゃん、しりとりしよう」





そう言って笑った。