君と半分

『ワン』


朝、丸々はまた尻尾をふって足元に来た。


いつもより耳を下げて嬉しそうに。


昨日怒ったのなんか忘れてるのかもしれない。


だけど、おらは涙が出た。


『丸々おはよう』


頭を撫でながら、おらは涙を流し続けた。


『丸々、ごめんよ』



丸々が出来ないから悪いとか、丸々が犬のクセにおらに噛み付こうとするなんてとか、おらは言い訳を並べてた。


丸々がおらを嫌いになったらおらも丸々に背を向けようと考えてた。


だけど丸々は何もなかったように、朝おらに尻尾をふってきた。


まるで久々の再会のように、嬉しい嬉しいと言わんばかりに。


そんな事をされたら、おらも素直に丸々に会えて嬉しいと撫でるしかないだろ?

本当は謝りたかった。
許して欲しかった。


ケンにもそう言いたかったんだ。