「座れよ」

「えっ、あっ、…うん」

彼の真横に座るのを躊躇い、出来るだけ端によって座わろうとしたら、彼の手が私の腰を掴み密着するよう座らせら、彼の肩に体を預けるように肩を抱かれて私の顔は、茹だったように真っ赤。

「なんだ…まだ慣れないのか?ほんと、そういうとこかわいいよな」

彼の手のひらが、熱くなった頬を撫でた後、腕時計を見た。

「最上階まで10分ある…俺とキスして過ごすか、膝の上に乗って千花は夜景を見るか、どちらか選べ」

「二択しかないの?」

「選ばないなら、俺の好きにするけど」

ニヤッと笑った妖しい笑みが怖く、慌てて選んだのは膝の上。

「失礼します」

横向きになり、10分も膝の上で彼の顔を見て過ごすなんて耐えられず、無意識に背を向け座ったが、それは失敗だった。

夜景の灯りで、箱を覆うアクリル板に2人が映っていると気がついた時の彼の顔が、艶めかしく笑っていた。

逃げないように、腕で腰をロックされた瞬間、うなじに触れる唇、そして耳朶を食む唇に…

「やぁ…約束とち、がう」

「何が⁈俺は何もしないと言ってないぞ。千花は気にせずそのまま夜景を見てろよ」

耳元で「無自覚に煽るお前が悪い」と言われ、降りるまで、身を震わせ吐息を漏らし、彼に翻弄される事になった。