高橋さんの膝の間に私が横抱きされていて、その私の膝の上にそらくんが丸まって寝はじめて落ち着いた頃、大きなため息がした。

「こいつ、絶対わざとだろ」

「なにが?」

大きな彼の手が伸びてきて、そらくんの背を撫でようとしたらしいのだが、そらくんの尻尾が彼の手をはたくように動き出した。

まるで触るなと言っている動きだが、そらくんは目を閉じて寝ている。

「最初会った時は懐いてかわいい奴って思ってたのに、俺の邪魔してばかりなんだよ。今も寝てるふりじゃないのか?んっ?」

そらくんの尻尾を掴み反応を伺っているが、反応はない。

「気のせいじゃないの。そらくん寝てるよ」

そらくんの額から頭にかけて私が撫でてあげると、気持ち良さそうに目を閉じて笑う顔になる。

「うそ、みた…かわいい。今日はいろいろなそらくん見れて幸せ」

「ふーん、良かったな」

「なに、その投げやりな言い方?」

「そりゃなるだろ…お前、今誰の膝の上にいるか忘れてるだろ⁈」

そこでハッとした。

そらくんの可愛さに夢中になり過ぎて、高橋さんの膝の上にいるという大事件に…彼に言われて頭の中が真っ白になり、一気に顔中が熱く熱を持つ。

うわー、うわー…