「料理教室は、俺が調べておく。後、ハウスキーパーの件は、雇用関係があるから週2は無理だ。だから、千花も一緒に掃除したり、料理を作ったりするのはどうだ?そうしたら、料理も覚えれるぞ」

そう言われては、何も言い返せない。

彼の為にと言っても、直ぐには認めてくれない不満を、心の中で爆発させるが、いくつもの会社のトップに立つ男が、私の機嫌をとる姿は、気分がいい。

だから、まぁ、もうしばらくは大人しくしてあげてもいいかもと思うのだ。

それに、彼の提案は思いつきもしなかったので、さすがは、大勢の従業員をまとめ、数々のプロジェクトを成功させている経営者だと感心したからだ。

彼に寝室に誘われ手を繋いでくる行為が何を意味するか、わからないわけじゃないが、こうもほぼ毎日求められると、そのうち飽きられるのではと心配になる。

だからと言って、経験豊富でもない私ができることといえば、彼の求めに応じて体を重ねることぐらいだ。

30も過ぎて、この容姿でモテている姿も見てきたから、経験豊富なのはわかっているが、彼の慣れた行為に嫉妬する。

手を繋いだ指を悪戯に撫で、寝室につく頃までに、私を欲情させる技能を持つ彼が、憎らしい。

そして、今日も彼の熱に侵され、思考を奪われ、依存するしかなくなるのだ。