「やり直しだ…」


「え、でも、まだ1ページしかチェックして…」


「いいから早くやり直してこいっ!」


「は、はい!!」


ひぇーー、怖いよ〜〜!!


「お帰り〜、どうだった?…その様子じゃあ、ダメだったみたいね。」


「み、南ちゃ〜ん!!」

思わず、南ちゃんに抱きつく。


「よしよし!私も出来るだけサポートするから、分からない所とかあったらなんでも聞いて?」


「…グスッ…南ちゃんありがとう〜!」


「もう〜、ほら涙拭いて、静香の可愛い顔が台無しだよ。」


……南ちゃん、聖母のようだ。
海王南(かいおう みなみ)ちゃん、私と一個しか歳が変わらないのに、凄く大人びていてしっかりしている。
おまけに美人でスタイルも良い!


「あっ、そうだ!これあげる。」


「……可愛い……」


小さくて可愛いりぼんのついたクマさんのキーホルダーだった。


「ジュース買ったら付いてきたんだけど、私こういうの全然興味なくてさぁ…」


「ありがとう〜!大切にするね!!」


「静香が、喜んでくれたみたいで良かった!」


社長に怒られて、気分が落ち込んでたけど、南ちゃんのお陰でなんだか元気が湧いてきた!


「役橋さん、さっき社長と話してましたよね〜〜!何話してたんですかぁ〜?」

「あ、花井さん。」

私の同期の、花井桜(はない さくら)さんが話しかけてきた。華奢で小さくて、栗色のふわふわした髪の毛が印象的な女性だ。

「……私が、また仕事でミスしちゃって怒られてたんです。」


「そうなんですかぁ〜、桜もミスして怒られたいなぁ〜。」


「え……どうして?」


「…だって〜、社長かっこいいじゃないですか〜〜!!桜も、もっと社長と話したいし〜。」


…確かに社長はかっこいい。

切れ長の吸い込まれそうな瞳、スッとした鼻筋、薄く綺麗な唇。
サラサラの黒髪は、肌の白さを一層際立たせている。


「花井さ〜ん」


「……あ、呼ばれたみたいですぅ〜、お疲れ様で〜す!」


「うん、お疲れさま!」

花井さんは、嵐のように去って行った。