物語を強制的に閉められる。 ああ、お伽噺の主人公たちはこんな気分なのか。 「……あたし、引っ越す」 「決意表明ですか」 「それから縁を切る。うん、万事解決」 ぱちぱち、と疎らな拍手を犬飼が送ってくれた。 「え、なんでこれ出来てねーの?」 は? と顔を上げた。まさか、あたしに言ってるわけじゃ、という思いと共に。 その思いも虚しく、上司はこちらを見ていた。 「……え、なんですか?」 「これ、言ったろ」 「言われたのはこっちです」 指し示すと、苦い顔をする。