まあまあ、と犬飼は宥めるみたいに掌を見せた。
「歳取っちゃえば6歳差なんて大したことないですよ。というか大事なのそこじゃなくないですか?」
年下の犬飼に言われても。あんたまだアラサーの恐ろしさも知らないでしょうに。
視線を携帯のストラップに向ける。ブルーデージー。綺麗な花。
「その彼はどう思ってるんですか? 裏葉さんのこと」
「知らない。知りたくない」
「拗らせてんなー」
「どうせ聞いたところで当たり障りないこと言うに決まってるじゃない。ていうか彼女いるんだよ?」
「じゃ、この話はお終いにしましょ。裏葉さんは彼を忘れて、新しい男に出会う。めでたしめでたし」



