「自分で言ってきたんですか?」 「ううん、パスケース落ちたのが見えて、学生証もあった」 「わー、嘘吐いてたんですね。それで別れたんですか?」 首を横に振る。全然、別れる以前の話だ。 結局あのまま、翌日帰っていく琉生に金を渡した。 『これ持って行って』 『裏葉さん、俺貯金箱じゃないんだけど?』 『あって困らないでしょう』 ここに居て、と留まらせることは出来なかった。ツバメは温かい地方へと渡る、渡り鳥だから。 宝石や、金を街の人々に配った王子の像はみすぼらしく、最終的に壊され退かされる。