王女にツバメ


へー、なんてどうでも良いような返事。

「興味ないなら聞かないでよ」
「え! 興味なくない!」
「おばさんの恋愛事情なんて興味ないよねー、分かってますよ。じゃあね」

アルコールを飲み干してバッグからお財布を出す。マスターを呼ぼうと手を挙げようとした。
その手が取られて、カウンターに伏せられる。

自分の左手の上に、彼の右手が乗っていた。

「おねーさん、寂しくない?」

左側は心臓に近い方だ。
彼の言葉に、心臓が速くなる。

もしかして誘われてる?
心の底にある大きいブラックホールに、感情が飲み込まれていく。