王女にツバメ


昨年いた外見の良い先輩が他部署の女性たちからダンボール一杯に貰っていたのを思い出す。持って帰れないと言って、暫く机の下に置いてあり、あたしもいくつか恩恵に預かった。

「え、もしかして裏葉さんくれないつもり?」
「そんなにチョコレート好きなの?」
「普通だけど。裏葉さんからのが欲しい」

その甘い口にはお似合いだと思うけれど。

あたしは中辛のカレーを頬張る。

誰にでも言っているであろうその言葉に、乙女心が擽られている。はー、と溜息を吐いた。

「なんでもいいよ、手作りじゃなくても」
「アラサー女の手作りチョコほど重いものはないでしょう」