王女にツバメ


広いと掃除も大変だし、掃除する暇もないし、いい加減引越し先を見つけないと。

「お、チョコ」
「本当だ。おいしそー」
「食べる? 今度買ってこよっか」
「いや、別に買うほど……」

テレビの特集でやっていたチョコレートの数々に、目を奪われる。そうか、今月半ばはバレンタインデー。

季節が巡るのは早い。

「裏葉さんは会社の人にあげたりすんの? チョコ」
「部署の女性社員とお金出して、大袋のチョコレート買ってくるよ」
「俺にもくれる?」
「どうせダンボール一杯女子から貰えるんでしょ」

そんなことない、と琉生が主張する。