あたし上がるんですけど! コートも着てるの分かりませんか!? 言い返したくて口から息を吸う。いや待て、あたしがここで怒ってどうする。何も解決しない。 バッグをデスクに置いてコートを脱ぐ。 「手伝います」 横から犬飼がPCを開いてくれた。なんて出来る部下なんでしょうね。犬飼がこれから上司になってくれた方が数億倍心の安寧が保たれる。 結局今日も定時を過ぎた。帰りに今度犬飼にご飯を奢る約束を取り付けて、家に帰る。 メイクも落とさずに、ベッドに沈む。目を閉じるとすぐに夢の世界へいけそう。