王女にツバメ


こんなに気持ち良くなくていい。

あたしたちの関係に綺麗な名前なんてつかないのだから。
気持ちなんて要らないのだから。

意識が途切れる手前、肩胛骨あたりを強く吸われた。




携帯のバイブ音で目が覚めた。隣に琉生が健やかに眠っていて、その音源を目で探す。

ハンガーにかかっていた琉生のジャケットからだった。
時刻は深夜二時。

こんな時間にかかってくるなんて、緊急の用事なんじゃないの。

自分の方がジャケットに近かったので、そのポケットから携帯を取り出す。一緒に紙がはらりと落ちてきた。
窓の外からの光で、それが何なのかはっきりと分かった。