王女にツバメ


次に起きると、男は居なくなっていた。

うちがオートロックで良かったと今ほど感じたことはない。





「先輩、それ夢じゃないですよね?」

いきなり夢オチをつけられた。後輩の犬飼がコンビニの総菜パンを頬張りながら怪訝な顔を向けてくる。

「……夢だったかも」
「疲れすぎて男拾う夢みたんですよきっと」
「だと良いけどさ……」

何故か連絡先が残されていた。ご丁寧に紙で、だ。

綺麗な字で書かれた名前。こんな一夜だけ過ごした相手に名前教えちゃうなんて、若い子のプライバシーとか大丈夫なの? と心配になってしまう。