「きょーくん!?」
「うわ、何これ。凄い重いじゃん」
「そうなの。だから返し────」
“返して”そう言うより先にきょーくんが私の言葉を遮った。
「だからこそ俺が持つんでしょ?」
さも当たり前の様に言ったきょーくんにドキンと鳴る胸。
やっぱり女の子扱いされるのは嬉しいこと。
でも頼まれた訳でもないきょーくんに手伝ってもらうのは気が引ける。
真帆ちゃんはともかく、私は自分から買って出た身だし⋯。
「でもきょーくん⋯悪いよ⋯」
だからもう一度きょーくんから資料を取り返そうと手を伸ばしてみるがそれはヒョイと交わされた。
「梅だって持ってんだから何も悪いなんて思う必要ないだろ」
「⋯⋯」
私の手には元の3分の1もない資料。
全部持ってもらうのでは気が済まない私の性格をよく知っているきょーくんだからこそ、重くないくらいの量を残してくれたのだ。
「ありがとう、きょーくん」
きょーくんの優しさを有難く受け取る事にして微笑むときょーくんも頷いた。



