「梅」 モーゼの十戒の様に周りの人がその人の為に道を開ける。 そこを長い足を動かしながら優雅に歩いて来た彼は低いのに優しく甘さのある声でそう言った。 梅────。 私の事をそう呼ぶ人はこの世界でたった一人しかいない。 幼馴染みである、きょーくん、 私の好きな人である、きょーくんだけ。 そう、今目の前に来た彼だけだ。