「梅⋯!」
少し離れたところから大好きな声が聞こえてきて動かせる範囲で周囲を見渡してみるときょーくんがこっちに走ってくるのが見えた。
「きょーくん⋯?どうしたのこんな所で」
今私達が通っているこの階段が一番第2資料室に近い事もありここを通っていたのだけどここは校舎の端にある階段で普段生徒の通りはそれ程多くはない。
今も私と真帆ちゃん、きょーくん以外誰もいない。
「たまたま梅が階段上ってるのが向かいの窓から見えて何か困ってそうだから来てみたんだけど⋯何それ?」
どうやらきょーくんは向かいの校舎側から私の事を発見して来てくれたみたいだ。
わざわざ来てくれるきょーくんの優しさが嬉しい。
「その資料、どっかに運ぶの?」
「うん、3階の第2資料室まで運ぶの」
資料を見ながら不思議そうにしているきょーくんにそう伝えれば途端に軽くなる腕。
きょーくんが私の持っていた資料の半分以上を持ってくれたからだ。



