その日の放課後、いつもは下駄箱で待っていてくれるきょーくんが珍しく教室まで迎えに来てくれた。
「片山先輩だぁー⋯!」
「近くで見たらもっとカッコイイねっ!」
「ほんと、ほんと!カッコイイ!ヤバい!」
「羨ましいな」
きょーくんが来た事で教室はおろか1年の廊下までもが軽くパニック状態だ。
女の子だけじゃなく男の子からも憧れの眼差しを
向けられるきょーくんは本当に凄い。
たまに、きょーくんをすごく遠く感じてしまう程に。
それでも⋯⋯、
「梅、帰ろ?」
教室の中から私をすぐに見つけてそう言ってくれるきょーくんに、そのモヤモヤした気持ちは消えてなくなる。
「お待たせ、きょーくん」
教室のドアの所で待っていてくれるきょーくんの所まで駆けて行けばきょーくんは優しく微笑んでくれた。
「教室まで来てくれるの珍しいね?」
「んー、何となく。ビックリするかな?と思って」
「ビックリしたよ」
「ははっ。なら良かった」
そんな会話を交わしながら階段を下りていく途中、
「真白さんいいなぁー幼なじみってだけであんなカッコイイ人と一緒にいれるんだもん」
そんな声がどこからか聞こえた。



