あの雷の日のような優しい抱擁ではなく、強く、力強く抱き締めるきょーくん。 「きょー、くん⋯」 何が何だか分らず、ビックリし過ぎて涙も引っ込んだ。 ただドキドキと煩い心臓の音だけが静かな教室に響いて顔が熱くなる。 「ごめん⋯」 絞り出す様なきょーくんの言葉にドキドキしていた心臓も一瞬ドクンッと嫌な音を立てたけれど次に続く言葉を聞いてまた、愛しいリズムで刻み出した。