「小梅ちゃん、物理の先生に扱き使われていたからまだ学校にいると思いますよ」
移動教室の帰りに先生と小梅ちゃんが話しているのをたまたま耳にしていた。
「梅の教室行ってくる」
「あ、それと小梅ちゃんに“ごめんね”って伝えてください」
「⋯ごめんね？」
「はい。それと私たちは友達だよって。お願いします」
小梅ちゃんには意地悪な事をしてしまった。
明日ちゃんと自分の口でも言うつもりだけどもしも私の言葉のせいで彼女が何かを躊躇う事があったら嫌だから⋯。
「分かった。伝えておく」
「はい」
「⋯真帆、本当にごめん」
「⋯」
「それと、ありがとう」
そう言って先輩はこの場を後にした。
最後にありがとうなんて狡い。
狡すぎる。
でも⋯
「満足、かなっ⋯」
頑張ったよね、私。
