「真帆の事、好きになろうとした」
「⋯、」
「でもきっとそれも言い訳で、本当は梅と似ている真帆に⋯梅と重ねてもいいっと言った真帆に、甘えていただけだ」
「っ」
「真帆が今ままでの女たちと違って真剣に俺を好いてくれている事もわかっていたのに⋯」
「⋯、」
「ごめん」
頭を下げる先輩に、「悪いと思っているなら、」と言おうとしてやめた。
だって片山先輩だけが悪い訳じゃない。
裏切られたわけでも、弄ばれたわけでもない。
私が、重ねてもいいと言ったんだ。
勝手に振り向かせられると思い上がっていたんだ。
最後まで私にチャンスをくれちゃって温い
人だと思っていた。
優しくて、優し過ぎる人だと思っていた。
だけど本当に温いのは私だった。
簡単に人の心は変えられない。
動かせない。
ましてやこんなにも違う人を想っている人の心なんて⋯。



