「はあ⋯」


重い重いため息は隣にいた千紗にも聞こえていたようで。



「ため息吐くと幸せ逃げるのよ?」

「⋯幸せ、かぁ」

「どうしたのよ?」

「んー、なんかさ」



最近思う事がある。

雷の日以降、きょーくんがどうしても好きだと、背中に回した手に、回された手に、もういっその事この想いをぶちまけてしまいたいという自分勝手な気持ちがフツフツと湧き上がってきている。



気持ちが抑えられない、抑えたくない。

真帆ちゃんの存在に嫉妬し、焦っている。


それは本当に自分勝手としか言えないものだけれど。




それを千紗に言うと千紗は「そうだねぇ」と言いながら綺麗な足を組み替えた。