未完成のラブレター。 【完】



無意識に彼の名前を呼んだ瞬間、フワッと温かい何かに包まれた。



何だか分からない温もりと突然体を抱かれた感覚に一瞬、何が起こったのかとパニックと恐怖を覚えたけれどすぐに分かった。

懐かしい様な気もする、爽やかで甘い香り。

私のよく知っている香り。




前に香水を付けているのか聞いた時付けていないと言った彼からはどうしてこんなにいい香りがするのかを疑問に思った事がある。





「きょー、くんっ⋯」


顔を見なくても、声を聞かなくても分かる。

今私の事を抱き締めているのは他でもない、

私の大好きな人だ。