私が雷が嫌いな理由は小さい頃に家の近くに雷が落ちた事があって、その時の轟くような大きな音が頭の中にこびり付いているから。
しかも家は停電していて、それでさえ怖くて不安だったのにあんなに凄まじい音を聞いてしまったら雷が苦手にならないはずがない。
高校生にもなって雷が怖いなんて子どもっぽい事は分かってるけど苦手なものは苦手なんだ。
「雨も降りそうだし、急いで帰った方がいいね」
「うん⋯」
「何よ?そんなに怖いなら家まで送っていこうか?」
不安気に空を見上げる私に千紗がそう言った。
「えぇ!?いいよ、大丈夫」
「でも怖いんでしょ?」
「怖いけど⋯そんなにすぐ雷鳴りそうでもないし、何より悪いよ」
「私はべつに大丈夫よ?」
千紗はそう言ってくれるけど、雨も降りそうだし千紗だって一刻も早く家に帰りたいはず。



