山野くんはどこだろうと教室内をグルりと見渡してみるも、山野くんの姿はない。
どっか行っちゃったのかなぁと思っていると教室前の廊下で友達と話している彼を見つけた。
「や、山野くん!」
友達と話し終えたタイミングを見計らって声を掛ける。
「真白さん。どうした?」
山野くんの表情はいつも通り柔らかいものになっていた。
「や、あのね、さっきのことなんだけど」
「さっきのこと?」
「真帆ちゃんが言ってたお似合いってやつ⋯」
「ああ⋯それがどうかした?」
「えっと⋯あの、ごめんね」
「え?」
「嫌な思いさせちゃって」
私がそう言うと山野くんは「え?何が?」と不思議そうに首を傾げた。



