「真白さん困ってるじゃん。それにそういうノリ今いらないから空気読みなよ、真帆」


普段の爽やかで優しいイメージの山野くんから想像出来ない程の冷たい声。

真帆ちゃんもビックリしていたけれどすぐにハッとしたように「ごめんね」と言った。




「でも⋯、本当に2人はおにあ、」

「俺の話聞いてた?」

「っ!ごめん⋯」



それでも懲りずに話を続けようとした真帆ちゃんに山野くんは「そういうのは無闇に言わない方がいいよ」と注意してからこの場を去ってしまった。


流れる気まずい空気⋯。




「小梅ちゃん、ごめんね」

「あっ、ううん⋯」

「でも本当にお似合いだと思うし⋯だから⋯」

「真帆ちゃん?」


何だか真帆ちゃんの表情は暗く、切羽詰まっている様に見える。

私の気のせいかな⋯?



「ううん⋯何でもない。ごめんね」


そう言って笑った真帆ちゃんの笑顔も普段と違う、作り物の様に見えた。