「真帆」 「嫌ですっ、別れたくなんてない!」 「⋯ごめん」 「いやっ!嫌!嫌!嫌!」 まるで聞き分けのない子どもみたいに両耳に手を当てて首を振る。 みっともなくても、なんでも、離したくなかった。 片山先輩を離したくなかったんだ。 今別れを受け入れたらきっと彼は二度と私の所には帰ってきてくれない。 振り向かせるチャンスすら、二度と来ない。 諦めなくちゃいけない。でも諦められない。 小梅ちゃんの気持ちにも、片山先輩の気持ちにも気づいているのにどうしたって離したくない。