未完成のラブレター。 【完】



「私は別れたくないです」


先輩の目を見てハッキリと発した言葉に先輩は嫌そうな顔をするでもなく、面倒だとため息を吐くでもなく、悲しそうに瞳を揺らした。


そんな顔をさせたいわけじゃない。


小梅ちゃんには告白したらOKを貰えたと言ったけど、本当は⋯本当は⋯⋯。





『先輩を絶対に振り向かせてみせますからっ⋯!小梅ちゃんよりも絶対に、絶対に好きになってもらえる様に頑張りますから⋯!』


『だから⋯だから⋯お願いです⋯付き合ってください』


『小梅ちゃんと私を重ねたっていい⋯!』



一度断られた先輩に縋り、涙を流しながら懇願した。

だから別れたいと言われても拒否なんて出来ないのに、「しつこい」と「迷惑」と突き放されてしまっても仕方がないのに。



私はどこまでも狡く、先輩はどこまでも優しい。