子ども扱いされた事に拗ねた私はプイッときょーくんから目線を外して窓の外を見た。

きょーくんはお兄ちゃんみたいな存在だけど私の好きな人だから、やっぱり子ども扱いされたら傷つく⋯。



「梅」


拗ねた私に気付いたきょーくんが私の名前を呼んだ。


「なに?」


きょーくんに名前を呼ばれたらそっちを向かない訳にはいかない⋯というか自然ときょーくんの方を向いてしまう私にはきょーくんが全て。




「それ、いつも食べてるけどそんなに美味しい?」

「⋯うん、美味しいよ」

「へぇ」

「きょーくん⋯?」

「そんな美味しいなら一口ちょーだい」

「えっ!?」

「いつも梅が美味しそうに食べるから気になってたんだよね、ダメ?」



そう言いながら首を傾げたきょーくんは女の子のツボをわかっている。

普段はカッコよくて優しくて⋯だけど首を傾げるその仕草は可愛くて⋯。

それを計算ではなく天然でやっているからこそこんなにドキドキさせられるんだ。



「ダメじゃ、ないよ」

「なら、はい」



ダメじゃない。そう言った私に優しく微笑んだきょーくんは顔を私の方に寄せてその綺麗な瞳を閉じた。

長い睫毛がその傷一つない肌に影を作る。