「っきょ、きょーくん!?」
「何下向いてるの。危ないだろ?」
「え⋯あ、気を付ける」
肩を叩いたのはきょーくんだったらしくまたもや突然のきょーくんの登場にとまどいと嬉しさが込み上げる。
靴箱の周りには1年はもちろん2年生も3年生もいてその人達皆があたし達に注目をしていた。
「きょーくんどうしたの?」
いたたまれなさを感じながらも背の高いきょーくんを見つめる。
「どうしたって一緒に帰ろうと思ってたのに教室行ったらいねーんだもん、急いで追いかけたんだよ」
「一緒に⋯?」
「嫌なの?」
どうやら一緒に帰ってくれるつもりだったらしいきょーくん。
嬉しい、嬉しいけど⋯
「いいの⋯?他に、帰りたい⋯人、とか⋯さ⋯」
彼女と帰らないの?とは聞けなかった。
それでもたどたどしくそう言えば少し目を細めながら首を傾げたきょーくんに格好良すぎて倒れそうになる。
「梅と帰りたいから言ってるんだけど」
嗚呼、もう、そういう所が本当に狡い。



